なぜツボが効かないのか?(鍼灸が効果ない理由)

鍼灸イメ-ジ

動画で解説

このページの内容を簡単に動画でまとめています。


以下、画像による解説です。

鍼灸治療を行うにあたり、症状に合わせたツボを使用することが多いと思います。

ですが、なかなか治らないケースがあります。
「ちゃんと、症例にあったツボを使用しているのに、なぜ治らないのか」と思ったことはありませんか?
もちろん、鍼灸の適応でなかった場合もありますが、本当にそれだけでしょうか。
この動画では、鍼灸の適応にあっているのに、それでもツボが効かない理由を解説します。

深さの概念を習わなかった

鍼灸学校では、ツボを習います。
それぞれのツボでは、取穴部位といって「ツボの場所」を覚えます。

がしかし、学校で習うツボは、縦・横の2Dでしか教えてくれません。
ですが、人間の体はどうでしょうか。
縦・横・深さの3Dです。

実は、この「深さ」の概念を詳しく習わないために、ツボが効かないケースがあるのです。
では、肩こり・五十肩・腰痛・内蔵疾患にて例を挙げましょう。

肩こりの深さが足りていない

首 断面図
図は、首の「縦の断面図」です。
青色の部分は、インナーマッスルの頚半棘筋です。
もし、患者の肩こりの根本部分が頚半棘筋だった場合、
該当筋肉まで、鍼を届かせないと凝りはなかなか改善しません。

つまり、ツボが効かないのです。

ポイント
余談ですが、パソコン・デスク作業などの等尺性収縮による負担は、
アウターマッスルより、インナーマッスルのほうが負担がかかります。

五十肩の深さが足りてない

肩甲下筋
肩甲下筋が原因の五十肩には、肩甲下筋にまで、鍼が届かせないとなかなか治らないです。

「五十肩が治るのに1年かかる」なんて言ったりしますが、
単に深さが足りてないケースが多いのです。

腰痛の深さが足りていない

大腰筋 断面図
腰痛の患者さんに、代表格のツボである大腸兪を使用したとします。
がしかし、1年間通い続けても治らない人がいます。

もし、その患者の根本原因が大腰筋だったらどうでしょう。
(体格にもよりますが)大腸兪の深さ5~10cmまで刺入しないと大腰筋まで到達できないのです。
なので、大腸兪に刺激しているのに「腰痛がその日だけマシになるけど治りはしない」という現象が続くのです。

背部兪穴の深さが足りていない

背部 棘筋
以前の記事「ツボが効く理由」において、背部兪穴で「内臓疾患が治る理由」を紹介しました。
簡単にいいますと、背部の棘筋が緩めば、自律神経後肢の絞扼をゆるめるからです。
効果が出ない場合は、インナーマッスルの棘筋にまで鍼尖が届いていないケースが考えられます。

深さの概念が加わると

痛みを起こしている部分について、2Dではなく3Dで考えられるようになると、
治療効果がぐんとあがります。

(私は両方とも経験し、その経験上から述べています)
よく「鍼灸治療に通ったけど治らなかった」ということも耳にしますが、
もしかしたら、深さの概念が足りなかったのかもしれません。

深鍼にリスクはないのか?

結論から言えば、リスクはありません。
なぜなら、リスクを避けて深く刺す技術があるからです。
※でも、学校では習わないので、日本の多くの鍼灸師がリスクがあると思っているのが現状ですが。
(ちなみに、最近では大腰筋刺鍼を教える学校もあるらしいです)

最後に

ぶっちゃけ鍼灸師

私的には、深さの概念を持った鍼灸師が増えて、より多くの患者様の痛みがとれたら嬉しいなと思います。
ただし深鍼・中国鍼を行う場合、必ず現場で習得してからにしてください。
そうしないと事故が起こる可能性があります。