【腎兪・大腸兪】に鍼をして腰痛が治らない場合、多裂筋を狙え!

腎兪と志室の刺入断面図

ぶっちゃけ鍼灸師

腰痛の鍼灸治療として「腎兪・大腸兪」をよく使っている鍼灸師さんも多いのではないでしょうか?
がしかし、いくら「腎兪・大腸兪」に鍼をしても、患者さんの腰痛がなかなか、良くならない場合がありますね。
こちらでは、その原因と、その場合の効果的な治療法(多裂筋刺鍼)について、紹介します。

腎兪・大腸兪の鍼灸治療で腰痛が治らない原因

結論から言えば、トリガーポイントが1行線(腎兪・大腸兪)にない場合です。
その場合は、いくら腎兪・大腸兪に鍼をしても、患者さんの腰痛が一向に治りません。

腰痛を大別すると4箇所に分かれる。

ぶっちゃけ鍼灸師

筋肉が硬くなると、痛みを引き起こすのは、ご存知ですね。
腰痛も同じです。
では腰痛の場合、どの筋肉が原因になるかと言いますと、4つに大別されます。
腰痛の主な原因(筋肉由来のケース)

  1. 多裂筋
  2. 起立筋群(最長筋・腸肋筋)
  3. 腰方形筋
  4. 大腰筋
注意
筋肉由来の腰痛に限定して話しています。
臀部・下肢・腹部の筋肉は、今回は割愛します。

腎兪・大腸兪では、鍼を当てられない筋がある

腎兪と志室の刺入断面図

ぶっちゃけ鍼灸師

腎兪・大腸兪では、最長筋をメインに治療します。
2行線(志室など)では、腸肋筋や腰方形筋をメインに治療します。
図でもわかるとおり、多裂筋・大腰筋には当たらないのです。

多裂筋の鍼灸治療方法

多裂筋刺鍼のイメージ

ポイント
華陀夾脊穴かだきょうせきけつを使います。
正中線から外5分のラインに鍼をしましょう。

できれば、椎体に当たるまで、深く刺入します。
多裂筋は、腰椎の棘突起から、下位の横突起に向かって走る筋肉なので、5°くらい外側に傾けて刺入するといいでしょう。

棘突起に起始があるので、「椎体間」にとらわれず、棘突起のすぐ横から、刺入しても良いです。
腰部 多裂筋の刺入位置

脊髄損傷が怖い場合

正中線のキワに、鍼をするので脊髄損傷が怖いかもしれません。
しかし、外側に5°傾斜をつけるので、脊髄には向かいません。

さらに、安全に刺入するために、針先を下位腰椎に向けます。
多裂筋の刺入方向
名門穴の横から、刺入する場合は、外側に向けつつ、さらにL3に向かって刺入するのです。
そうすると、さらに脊髄には向かいにくくなります。
このほうが、多裂筋の走行にそって、刺入できるので効果も良いと思います。

鍼の太さにも注意
それから、1番鍼だと、針先がグニャグニャと曲がりやすいので危険です。
最低でも3番鍼を使いましょう。
5番鍼とかのほうが、安定します。

万が一、針先が脊髄に当たったら、、、

注意
それでも、針先が脊髄に当たった場合、患者さんの足に向かって、強烈な電撃痛が走ります。
その際、「ああああーーー」と、叫ぶ患者さんがほとんどです。

その電撃痛が走ったところで、鍼を止め、安全深度まで戻せば脊髄は損傷しないので安心してください。
なので、ゆっくりと刺入するようにしましょう。

※あらかじめ「足まで響いたら教えて下さい」と、患者さんに声をかけておいてもいいでしょう。

多裂筋の硬さを針先で感じよう!

ポイント
華陀夾脊穴を使って、多裂筋に刺入できた場合、針先がすごく硬い筋肉に触れたのがわかります。

そして、置鍼後に抜く時も、ものすごく硬くて、抜きづらいです。
(本当は、抜く時に硬い場合、さらに置鍼をして、ゆるむのを待ったほうが、治療効果は上がる)

ぶっちゃけ鍼灸師

それほど、腰痛持ちの患者さんは、多裂筋が硬くなっている人が多いです。
なので、しっかりと多裂筋を狙って治療してあげましょう。
患者さんの、腰痛が治って喜ばれること間違いなしです。

大腰筋の鍼灸治療方法は、こちらで解説しています。
大腰筋 図説なにをやっても治らない腰痛に効果的な【鍼灸治療】