鍼灸治療の好転反応を恐れるな!好転反応の本当の原因

浅い鍼と深い鍼の違い

注意
こちらの記事は、鍼灸師さん学生さんに向けて書いています。

ぶっちゃけ鍼灸師

突然ですが、鍼灸師、学生のみなさん。
鍼灸治療の好転反応を恐れていませんか?
患者さんから「鍼の後に痛くなった!シビレがひどくなった!」と言われて、慌てていませんか?

ぶっちゃけ鍼灸師

こちらでは、好転反応の本当の原因を説明していこうと思います。
それでは、順を追って説明していきますね。

鍼灸師が好転反応を恐れる理由

なぜ、多くの鍼灸師は好転反応を恐れるのでしょうか。
それは、「鍼灸の刺激が強すぎたために、好転反応が出てしまった、、、」と思っているからです。

また、「好転反応が出たために、患者が鍼を嫌がってしまった・来院しなくなった」という経験もあるかもしれませんね。
しかし、これからお話する、好転反応の本当の原因を聞けば、好転反応を恐れなくなると思います。

鍼灸治療における好転反応の本当の原因

鍼灸師に「好転反応を説明してください。」というと、
「体が治ろうとするための、一時的な反応、、、」
など、ざっくりとした答えしか返ってこなかったりします。

そもそも、鍼灸の専門学校でもそのようにしか教えていないので、そうなって当然です。
がしかし、学校では教えてくれない好転反応の本当の原因があるのです。

では、本当の原因とは一体なんなのでしょうか。

わかりやすく「正座」を例にします。

正座イラスト
あなたが正座をしたとします。
15~30分ほど正座を続けると、足がビリビリしてきますよね。

これは圧迫により、感覚神経がじょじょに障害を受けている段階です。

ところがさらに、60分以上も正座を続けるとどうなるでしょうか?
なんと、ビリビリは無くなり、感覚までもが無くなるのです。
これは、感覚神経の障害が完全に圧迫を受けたがゆえに、起こる状態です。

次に、その状態から足をくずすと、、、

正座後のしびれ
感覚がなくなるほど正座を続けた後に、足をくずすとどうなるでしょう?
ビリビリーーっっっと、しびれが走って、ものすごく痛みますよね。
実は、この原理が鍼灸の好転反応と同じなのです。

腰痛で例えましょう。

腰の筋肉と神経
腰の筋肉がガチガチに固くなって、腰痛を訴えている人がいるとします。
この人は、慢性的な腰痛であり、腰の神経を長期間、圧迫され続けてきた人です。
その人に対して、腰の筋肉が鍼灸によって、ものすごく緩んだとします。

・・・そうです。
ちょうど、正座の足をくずしたときのように、神経の圧迫を取り除くことが起こるのです。

ポイント
今までは、神経が圧迫されすぎて、鈍痛しか感じていなかったのに、圧迫が急に取り除かれたために、
神経が過敏になり、一時的に、以前より痛く感じたり、シビレ感が起こったりします。

注意
しかし、鈍痛の原因となっていた、筋緊張は取り除かれるので、神経過敏は1日ほどで治まります。
中途半端に緩めると、以前よりも腰痛がひどくなったように感じるのが数日続くこともある)

ぶっちゃけ鍼灸師

これが、鍼灸治療の好転反応の本当の原因なのです。
ですが、このような説明を習ってこなかったため、あいまいな解説しかできなくて、
しまいには「好転反応=悪い」という、イメージを持たれるようになったのです。
患者さんの症状がキツイほど、好転反応にビビっていませんでしたか?
昔の私もそうでしたが、患者さんの症状がひどいとき(ギックリ腰など)
鍼治療をする前に「症状がキツイから、好転反応が強く出そうだな、、、」と、よく不安になったものです。

しかし、前述したように【患者さんの症状がキツイ=神経の締め付けが強い】とう状態です。
なので、ちょっと緩めてやるだけで、好転反応が起こりやすいです。

つまり、たとえ症状のキツイ患者さんが来院されても、別にびびらなくて大丈夫ですよ。
このような患者さんは、好転反応が起こって当然ですから。
決して、鍼灸治療が失敗した。刺激が強すぎた。というわけではなく、鍼灸治療が成功したという証拠です。

患者さんに事前に説明しておけば、まったく問題ない

もし、患者さんになんの説明もなく、好転反応が起こってしまったら、
さすがに、「鍼灸のせいでひどくなった」と思われても仕方ありません。
ですが、先程の正座を例にあげて、わかりやすくきちんと説明しておけば、患者さんは納得してくれます。

どうすれば鍼灸治療の好転反応が出るのか?

鍼灸師によっては「好転反応はあまり出ません」という人も少なくありません。
それもそのはずです、好転反応が大きく出るような治療法でないと好転反応はあまり出ません。

浅い鍼と深い鍼の違い

では、好転反応が出やすい鍼灸治療とは、なにかと言いますと、
何度も言いますが、好転反応はガチガチな筋肉によって、締め付けられている神経の圧迫を急に取り除いた時に起こりやすいです。
そもそも、浅い鍼「1cm~2cm」ほどの刺入しか行わない場合は、好転反応は起こりにくいです。
なぜなら、神経圧迫を起こしているトリガーポイントまで、鍼が届いていないからです。

ところが、骨刺こつしなど、深く刺して深部のトリガーポイントまで届いた場合(つまり神経の圧迫を取り除けた場合)は、好転反応が起こりやすいです。
(骨刺とは、骨に到達するまで深く刺す方法)

好転反応が出たほうが、根本的に治ることが多い

標治法の場合、好転反応が出たほうが治りやすいです。
浅い鍼の場合、痛みの原因が神経を圧迫している深部にあるにもかかわらず、表面にしか鍼をしません。
なので、「その時だけしか良くならない、1日で元に戻る」などと、患者さんが訴えることも多いです。

しかし、深い鍼の場合は、根本的な痛みの原因を起こしている筋肉を狙っていきます。
もちろん、神経のそばに鍼先を向かわせるので、得気も起こりやすいです。
好転反応は、当然ながら起こりやすいし、もちろん根本的な治療になり、1回の鍼灸治療でスッキリと治してしまうことも多いです。

最後に

ぶっちゃけ鍼灸師

今回は、「鍼灸治療における好転反応を恐れるな」というテーマで話をすすめてきました。
全部読んでいただけたのならば、おおよそ納得していただけたかもしれませんし、
学校で習わなかった事なので、納得できなかったかもしれませんね。

ぶっちゃけ鍼灸師

日本の鍼灸専門学校では、深い鍼は教えません。
しかし、中国・韓国などの鍼は、深い鍼も行われます。

注意
もし、今回の記事に興味を持って「深鍼ふかばりをやってみようかな~」と思われた鍼灸師のみなさんに注意点があります。

必ず、深鍼を実践している鍼灸院で修行を積んでからにしてください。
そうしないと、気胸などの刺鍼事故を起こす可能性があります。

ポイント
深鍼による修行を積めば、問題ありません。
「深鍼=危険」と思うかもしれませんが、実際のところ解剖学的に安全に刺鍼するので問題ありません。
具体的に言えば、骨に当てて針先を止めるので、気胸を起こすことはありません。
興味をお持ちならば、深鍼の治療を行っている鍼灸院などを探してみると良いでしょう。

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