鍼灸治療の刺入深度はどれくらいがいいの?筋膜で止めるとよくゆるむ

鍼の刺入深度はどれくらいがいいの?

鍼の刺入の深さ
肩こり・腰痛などを治療するときに、筋肉にある筋硬結などを狙って治療するわけですが、その深さはいったいどれくらいが良いのかご存じですか?

  • 筋硬結の手前で止めるの?
  • 筋硬結を貫くの?
ポイント
正解は、ずばり筋膜です。

なぜ、筋膜で止めるのが良いのか?

筋膜で鍼をとめたイラスト
筋硬結を貫くのが好きな先生もいますが、私の経験上では、筋膜で止めるのが、筋膜をゆるめるのにもっとも効果があるように思います。

それに、触診の際に触れる筋硬結というのは、思っている以上に表層にあります。

ポイント
それを、深く刺入してしまうと、一番ゆるめたい筋硬結を逃してしまうことになるからです。

また、刺入痛も軽減できるので、患者さんの負担が軽くなります。

どうやって筋膜で鍼を止めるの?

鍼灸治療触診
ポイントはズバリ触診のときに決まっているのです。

鍼を刺す前に、ツボの状態を把握するのに、手で触って確かめますよね。

ポイント
このときに、ある程度の深さの指標を計っておくのです。
そして、そのまま押手を作り刺入するという流れです。

どうやって筋膜で鍼止めたことがわかるの?

筋膜を鍼でたわませるイメージ
筋硬結のできている筋膜ならば、ゆっくりとし入していけば、コツンと壁に当たった感触がします。
(深層に筋硬結がある場合は、そこで感触がします。)

ポイント
筋膜にあてたら、筋膜を貫かないように雀啄もしくは撚鍼をします。
コンコンと扉のノックをするイメージです。

そして、そのまま筋膜を貫かずに、筋膜を少したわませた状態で置鍼します。
そうすると、筋硬結もフワッと一気にほぐれやすいです。

もしも、筋硬結のコツンという感触がしなかったら

ポイント
必ずしも、鍼を刺入していき、コツンという感触があるわけではありません。
コツン、というのはあくまでも筋硬結ができてるときに感じるものです。

ですが、筋硬結がない場合でも、鍼がズシ~んと重たくなるときがあります。
これは、筋肉の固くなっているところに到達したサインなので、その辺りで鍼をとどめておくと良いでしょう。

またこの時に患者も得気を得やすいです。

いかがでしょうか?

鍼灸師
紹介した筋膜で止めるというのは、あくまでも私の一つの考えです。

ポイント
自分の体に、鍼をしていろいろ試したのですが、筋膜をノックするかのように雀啄した時が、一番得気をえられたのです!
得気をえたほうが、筋肉も緩みやすく神経にもよく働きかけている状態なので、得気を最目標にしている方は「筋膜で止める」ということを試してみてはいかがでしょうか?
反対に、筋膜を貫いてしまうと、ぜんぜん響かなくなったのです。
ぜひ、みなさんも自分の体や臨床で試してみてくださいね。

追記:現在は深鍼りになりました

この記事を最初に書いた時は、2015年でした。
がしかし、現在(2018年)では、中国鍼(深い鍼)にどっぷりはまってしまいました。

その理由は、深く鍼を刺したほうが深層にある筋肉を緩められる、つまり治療効果が高いということを身をもって経験したからでした。
患者の負担が少ないとか、安全面とかで言うのならば、筋膜でとめるという方法も悪くないのですが治療効果を追求するのなら、深い鍼のほうがよく効くという結論にいたりました。
深い鍼については、こちらのページなんかが参考になると思います。

なにをやっても治らない腰痛に効果的な【鍼灸治療】

ぶっちゃけ鍼灸師

言ってることが変わってしまって申し訳ないですが、みなさんも勉強するにつれて、考え方が変わるということは、あると思うので、ご勘弁を(^_^;)

2 COMMENTS

馬場直喜

鍼灸に興味があるので大変参考になりました。
特に私の周りに脊柱管狭窄症で悩んでる方が多いので、鍼灸でどうにか痛みを和らげてやれないかと思っていたところでした。

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ぶっちゃけ鍼灸師

馬場様 コメントありがとうございます。
鍼灸が、脊柱管狭窄の方に、よく効く可能性は多いにあります。
(実際に私も、脊柱管狭窄と診断された方を、治した経験があります)

その、大きな理由としては、たとえ脊柱管狭窄と診断されても、人によってはさほど神経に影響があるわけではなく、筋肉(大腰筋)の影響で痛みを起こしているケースがあります。
ただし、病院(西洋医学)では、筋肉を原因と考えないために、筋肉由来の痛みをスルーしている場合があるので、鍼灸で脊柱管狭窄の痛みが改善する可能性があります。

それからもう一つ、現在の日本の鍼灸院の、9割以上が「深い鍼」をしません。
(大腰筋は深い場所にあります。)
理由は専門学校では、「深い治療法」を習わないからです。
もしも、脊柱管狭窄を鍼灸治療で治したいとお考えならば、インターネットで「深い鍼」をしてくれる鍼灸院を探したほうが良いと思います。
以上、参考にしてください。

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